その日クラブを出る時にジャッキーから手渡されたのは一本の蝙蝠傘
こんなんいらんわと突き返そうとする前に、さっさと行くぞとマックに押し出されて
無様に逃げ回るターゲットを階上へ追い詰めて行く
ターゲットの上げる騒々しい靴音は思いの他屋外へ響いて
車留めに待機していた俺は狙いを定めて撃鉄を引き上げた
パンッ
数瞬置いて、俺の周りに独特の臭気を放つ液体が耳障りのする音を立てて降り注いだ
「傘、役に立・・・てへんかったようやな」
長い髪が肩に当たるたび、パラパラ落ちる黒い固まりに苦笑する
「何で傘がいる思たんや」
「そない深く考えんかったのやけどなぁ」
カウンター越しに投げてよこされた新聞の片隅
(今日の運勢・水難注意!)