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小さな高台に、風にコートを翻し立つ人影があった。 どこまでも続く、澄み渡った青い空。 日に暖められた大気を押し流すような、心地よい風が頬を撫ぜてゆく。 「ここへ来るのは……あれ以来、か」 小さく呟いたのは、ロイ・マスタング大佐。 いつもは不敵で自信たっぷりな笑みを浮かべる顔も、どこか暗く沈んでいる。 手には小さな花束。 高台から見下ろすのは――イシュヴァールの大地。 いや、元イシュヴァールといった方が正確だろう。 いまは誰一人として住むものはいない、荒れた赤茶色の土が広がっているのみだ。 ところどころに残った建物の残骸が寂寥感を煽る。 『不毛の地』それが最も相応しい表現だろうか。 だが―― ここから住む者を排除したのは、他でもない自分。 そう思い、ロイは小さく息をついた。 ――ヒューズが死んだ 士官学校からの長いつきあいで、誰よりも心許せたかけがえのない友人。 しょっちゅうかかってきた電話は、愛妻・愛娘の自慢ばかり。 その自慢話の合間に、出世に重要になるような情報をさりげなく提供してくれた。 いつも明るく、上からの激励もとい嫌味に事あるごとに晒されているロイを影から支えていたのも――ヒューズだった。 その彼はもういない。 従軍している身である故、民間よりももっと身近な死。 分かっている。 分かっていた。 彼が死んだからといって大総統になるという野望が薄れたわけではないが、それでも少しだけ決意が揺らいだ自分がいた。 何を感傷的に、と自分を叱咤しても、どこか意気消沈している。 お前はあれを忘れたのか? 自分が殺めた命を。その事実を。 ――あの血にまみれた自分の手を。 目前の風景を睨みつけるように眺め渡し、ロイは無意識のうちに拳を強く握り締めていた。 刻み付けておかなければ。 今一度、自分の決意を新たにするために。 「珍しい。お客さんだ」 かけられるはずのない声が後ろからかかり、顔にはださなかったがロイは内心驚いて振り返った。 振り返った先にいたのは、18,9の少女。 赤茶色の長い髪をぞんざいにしばりあげ、タンクトップにジーンズと身軽そうな格好。そして腕には何故か花の鉢植えを数個抱えている。 「あんたも何、誰か亡くした人?」 ロイが手にした花束に目をやり、少女はロイに尋ねた。 「……まあな」 「そっか」 手にした鉢植えを地面に置きながら、少女はさらりと言ってのけた。 「ここに追悼にくる、あんたみたいな軍人さんもいるんだね」 「……」 「何びっくりしてるの?」 のほほんとした少女の声に、返事ができない。 今日ロイは軍服を着てはいない。 国家錬金術師の証である銀時計も、目に付く場所に付けてはいない。 ――いったいどこで軍人だと分かったのだろう? 「だってそんなかたっくるしい雰囲気、軍人しかもってないよ」 と、少女はどこか得意げに言った。 「……そうなのか?」 ロイの返答に少女は一瞬きょとんとした顔になり、日に焼けた顔を破顔させた。 「なぁんてね!軍人だった父さんと雰囲気が似てたからついそう言ったんだけど……まさか当たってた?」 明るい声で顔をのぞきこんでくる少女に、ロイは苦笑する。 「……まあ、そういうところかな」 「うっそ、本当?」 心から驚いている様子の少女に、ロイは呆れてしまった。 「本当に適当に言ったんだな……」 あれだけのことに動揺してしまった自分がおかしくて、ロイは少し笑った。 暗く沈んだ気持ちが、ほんの少し浮上したようだ。 「君の名前は?」 呼びかけに少女が顔を上げた。大きな茶の瞳と視線が合う。 「ん?ああ、アイフェンだよ。アイフェン・レニス――で、あんたは?」 「私はロイ・マスタングという」 従軍の身だと知られても、何故か大佐という肩書きは言いたくなかった。 「ふーん、そっかー。ロイね」 さきほど会ったばかりの少女にファーストネームを呼ばれたことに、ロイははじめ気がつかなかった。それほどまでに自然に、ロイは少女と話をしていた。 「あ」 「?なんだい」 「ロイはここに慰霊にきたんでしょ。ごめんね邪魔しちゃった――ごゆっくりどうぞ」 そう言って、アイフェンはもと来た道を軽やかに下って行った。 ロイは片膝をつけ、そっと地面に花束を置いた。 風に花弁が散ってゆく。 軽く目を閉じ、この地に散った多くの同胞と――正義の名の元に惨殺されたかの者たちへと祈りを捧げる。 暫くして、ロイは祈りを終えて立ち上がり、服についた土を軽く払った。 振り返ると、先程よりも更に数が増えた鉢植えをアイフェンが数えていた。 ロイが花を手向けているうちに運んだのだろう。 ロイはふと気になった。 「一つ聞いてもいいかな」 「何?」 「アイフェンはさっき、『あなたも』誰かを亡くしたと言っていたが…………父上を亡くされたのか」 先刻のアイフェンの話し振りから、ロイはそう踏んでいた。 案の定、アイフェンは首を縦に振った。 「――うん。殲滅戦でね」 そうか、と悔やみの言葉でもかけようとした時、アイフェンが口を開いた。 「――軍を抜けてイシュヴァール側について、処刑された」 言葉を失ったロイに、アイフェンは困ったような、泣き出しそうな笑みを浮かべた。 「どこにもはみ出し者っているんだよ。 父さんはイシュヴァールの人たちを殺すことなんてできないって軍部内で騒ぎを起こして、そのままイシュヴァールに入ったけど……捕まえられて、殺された。 とばっちりで母さんまで殺されて――お蔭であたしは天涯孤独」 あはは、と笑うアイフェンだったが、目は少しも笑っていなかった。 「……従軍してたのに、軍の言うこと一つも聞かない人だった。自分の正義っていうのが強くて、よく上司と大喧嘩してた」 どこか懐かしむような口調の中に、隠しきれない感情が溢れている。 怒り、悲しみ、愛おしさに――寂しさ。 「行き過ぎた正義のせいであんな戦争になったって分かってたくせに……自分から正義を翳して死んだんだ。矛盾してる」 馬鹿だよね、と呟いたアイフェンに、しかしロイは違う言葉をかけた。 「私は君の父上が羨ましいな」 「え……?」 「自分の信念を貫いて死ねるならば、それは本望だろう」 そんなことは、と反論しかけたアイフェンの頬に、ロイはそっと手を添えた。 「もちろん、そのせいで残された者に悲しみが残るのだがね……」 ロイの言葉にアイフェンは目を見開き、そのまま固く目を閉じた。 「……アイフェン?」 手を添えた頬が熱を持ち、それよりももっと熱い涙がロイの手を濡らした。 言葉にならない想いが、次から次へとあふれてゆく。 「う……っくぅ……」 「我慢しなくていい」 ロイが小さな頭を引き寄せ胸に押し当てると、アイフェンはようやく声を上げて泣き出した。 アイフェンのあまりに幼い泣き声に、聞いているロイの胸が苦しくなる。 この少女には、泣く場所がなかったのだろうか。 弱音を吐く、相手がいなかったのだろうか。 手を肩に回して抱き寄せると、泣き声がいっそう大きくなる。 ――思い出す、ヒューズの葬式。 毅然としていたグレイシアが、エリシアの哀願に堪らず泣き出した。 あれだけ愛し愛されあっていた二人だ。その悲しみは想像して余りある。 ロイは一人苦笑した。 残される者の辛さは、今のロイには身に沁みて分かる。 ――私も、残された一人か。 しばらくどちらも何も言わず、ロイの持ってきた花が風に散りゆく様を見ていた。 「――あたしはいつもここに自分のために来る」 赤茶けた地面に腰を下ろしたアイフェンが、おもむろに口を開いた。 横に座ったロイは何も言わず、ただ黙ってアイフェンの言葉に耳を傾けていた。 「亡くなった人のためだとか綺麗事言っても、結局自分の気持ちの整理のために来てるんだから」 薄情な話だけどね、とアイフェンは寂しそうに笑った。 「そんで、来るたびに花を植えてる」 アイフェンの視線を辿っていくと、少し離れた場所に小さな草地が見えた。 ほとんどは荒野の厳しい気候に適応できなかったらしく枯れていたが、それでも幾ばくかはしっかりと大地に根を下ろしている。 「戦争で……何にもなくなっちゃったからねー」 持ってきた鉢植えを抱え上げ、アイフェンはロイに向かって微笑んだ。 「戦争をしたのは軍人だけど、それってあたしらの責任でもあるような気がするんだ」 「君たちの……責任?」 「だってイシュヴァールの人たちは何も悪くないのにこんなことになって、あたしらは見て見ぬふりをしてた……これって見殺しじゃない。 ――父さんが怒ってたのは、軍じゃなくてあたしたちに対してだったんだ」 まっすぐに向けられた澄んだ瞳に、ロイはアイフェンの強さを見たように思った。 きっと、この子は父親似なのだろう。 同じように、自分の信念を貫こうとしている。 「だから、何か小さなものであっても還元したいんだ……それが生き残った自分の責任だって思ってる」 鞄から取り出した小さなスコップで、アイフェンは赤土の大地を掘り返す。 しかし、風雨に晒された大地は固い。 アイフェンはスコップを握る手に力を込める。 その手を止めたのは、ロイ。 「ロイ……?」 「手伝おう」 アイフェンの手からスコップを取り、ロイは土を掘り返し始めた。 「大丈夫だよ」 慌てて止めようとするアイフェン。 「女性が困っているのに手を出さないなんて、男の風上にもおけないからね」 にやりと笑うロイに、アイフェンはどこか照れくさそうに笑った。 「……さんきゅ」 「私はそろそろ行くよ」 アイフェンが持ってきた花をすべて植え終える頃、空は薄っすらと茜色に染まり始めていた。 「そっか。助かったよ、ありがとう。……気をつけてな、ロイ」 「アイフェンも」 別れの言葉と握手を交わし、二人は別れた。 出会って半日も経っていないのに、何だか旧友との別れのような気分だった。 高台を去るロイの背に、風にのった声がおいかけてきた。 「ロイ、また来いよ!今度来るときには、この丘いっぱいに花が咲いてるからな!」 ロイは振り返らずに右手を上げることで声に応えた。 あの殲滅戦以来、一度たりとも足を運んでいないイシュヴァールの地へ行こうと思い立ったのは、自分への戒め―― いや、懺悔だったのかもしれない。 アイフェンは、知らないうちに奪ってしまったものを、必死で取り戻そうとしていた。 罪への懺悔は、人それぞれ。 ならば――私の懺悔は、私が決めよう。 「だから……見ていろよ、ヒューズ」 今はもういない友人に届くように、ロイはまっすぐに空を見上げた。 「今度ここへくる時は――私が大総統になったときだ」 ロイの顔は引き締まり、常の自信に満ち溢れた表情に立ち戻っていた。 緑に溢れた大地へ赴く日のため、ロイは新たな道へと足を踏み出した。 ********************* FA原作もいよいよ佳境ですな!
by noichigokoro
| 2008-01-03 20:53
| SS
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Comments(2)
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by
メグイチ
at 2008-01-03 21:16
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うわぁー今、必死で読んじゃいましたよww
どうなるんでしょうねぇー早く新刊出ないかなぁ♪♪ ↑最近出たばっかりっていう…(^ ^; あっ、あけましておめでとうございます(笑) 今年もよろしくお願い致します☆m(_ _*)m
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noichigokoro at 2008-01-03 21:52
>メグイチさん
お目を通してくださりありがとうございますm(__)m すみません、オリジナルキャラが出張ってますが大佐メインで書いてみました。巻が進むにつれ、ますます大佐がいい味を出してて好きです そうそう、気になる場面で次巻へ続く!になってましたもんね~18巻。 早く新刊出て~!!!!!(笑) あっ、こちらこそ今年もよろしくお願いいたします!
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