94年に放送されたNHKスペシャル
チェルノブイリ原発事故を取り上げた番組をまじまじと見たのは初めてだった
鉄棺を臨む道路に突如現れた大穴
測定器を近づけると、一分しないうちに危険値を超え針が振り切れた
そこは地面に穴が開いたのではなく、事故当時の地面を埋め潰した数メートル上のアスファルトが経年劣化で崩落したものだった
事故当時、原発内で従事していた技術者の方が、事故発生時のことを話してくださった
スローモーションで、目の前のすべてが崩落していったと
誰よりも事態の深刻さを冷静に判断した上で"地獄を見た"と静かに語ってらしたのが印象的だった
汚染された土地と知りながら、その場所で生き続けることを選んだ人達もいた
ただ、それでも若い世代には長生きしてもらいたいと笑ったお年寄り
伸び切った草木に覆われた美しい村は、随分前に無人になった
絵画のような静かな農村と、高すぎる放射線量のちぐはぐさがうら寒い気分にさせた
食べるものも汚染された土地の町の校長先生が、本当に何もないところですが、またいらしてくださいと微笑んだ
人間が作ったものは、どうしたって事故が起こる
原発がいると言うなら、事故が起こった時に迅速に被害を最小限に食い止める手立てが必要だというのに、想定外の一言で私たちは片付けてしまった