ある小春日和。
搬入作業を終えた俺は、一服するため屋外へ出た。
近頃はどこもかしこも禁煙でたまったものではない。喫煙場所へ辿り着くにも苦労する。
あと30分もすれば遊戯会の本番が始まるのだろうが、あと10分後にはここを去る。
本番の模様は、恐らくマックあたりが入手してくる写真で見ることが出来るだろう。
あの翌日、ジョニーは全員に頭を下げて懇願した。
せめて、エイトを見守ることはできないだろうかと。
それは極めて危険と危惧を孕む提案だったが、ジョニーの固い決意を曲げることは一人も出来ず、マックのため息とともに多数決が取られた結果、満場一致で決定となったのだ。
但し、覚えきれないほど細かく決められた実行表の通り行動し、そこから一人でも逸脱した時点で終了となることを条件に。
あないに大きくなるもんなんやな――
遊戯会のセットを搬入する時にちらと見えた姿だけで満足している自分がいた。
大勢の子供たちの中でもずば抜けて利発に見えるのは単なる身贔屓か。
これではトッポやガムと同レベルだと苦笑した時、体重の軽い足音が近づいてくるのが聞こえ、スッと気配を消した。
「――くん、どうしたのっ?」
聞こえてくる子供の声は一人。
けれど気配は――二人。
まさか。
「――今、僕の知ってる人がいたような気がしたから」
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